記憶

人の記憶には3種類あり、短期記憶、中期記憶、長期記憶に分けられる。知識としては知っていたけど、最近意識していたので、違いが感じられるようになってきた。面白いつまらないことを思いついて、しばらく考えを進めているうちに最初のことを忘れる、というのが短期記憶〜中期記憶の谷。一度覚えて、2日〜2ヶ月くらい経っても思い出せるが、3ヶ月ほど経って、いつのまにか忘れているのが中期記憶〜長期記憶の谷だ。内省によるものなので、個人差は大いにあるだろうが、区切りは結構はっきりしているはずだ。いちど中期記憶に入れば、細かいことでも1ヶ月くらいは思い出せるだろう。


記憶のことといえば、いかに記憶を残すかが問題の焦点になる。ボトルネックは明らかに各段階の境界である。


まず、短期記憶から中期記憶へ進めるにはどうすれば良いだろう。まず、短期記憶について良く云われているのがマジックナンバーである。7つくらいの記憶は保持できるが、それ以上になると覚えきれない、というものだ。しかし、この7つの記憶というのは、結構柔軟なものらしい。7桁の数字、7つの数、7つの単語、7つの文章とずいぶん幅があるものだ。そこで、まず思いつくのが、記憶の塊を大きくすれば覚えられる量が増える、というものである。これは正しいかも知れないが、実際には一時しのぎにしかなっていない*1マジックナンバーが問題になる範囲では、まだ短期記憶なので、中期記憶にしなくてはならない。これには、やはり記憶を意識に留めておいて、記憶が定着するのを待つしかない。


次に、中期記憶から長期記憶への移行を考える。知識を身につける場合、短期記憶から中期記憶に出来なかったなら、また覚え直せばよい。1,2日経って思い出せるなら、中期記憶になっているはずだ。しかし、長期記憶となると面倒だ。3ヶ月経って思い出せるなら長期記憶になっているはずだが、思い出せなかったら、また3ヶ月間覚える努力をしなくてはならない。これはかなりの負担になるので、出来るだけ避けたい。というわけで、この方法を考えるのだが、やはり記憶を意識する時間を増やして、定着するのを待つのが基本になるだろう。もし、印象の強いエピソードと結びつけられているなら、無意識に何度も思い出すことになる。あるいは、ノートに書いておき、定期的に見直すことでも同じ効果が得られる。


結局、ちゃんと復習しないと覚えられないということじゃないか・・・。復習の必要がないという場合は、大抵自発的に思い返している。覚えたければ、こういう時間を取らなくちゃならないわけだ。

教育との関連

で、勉学との関連が強いので少し考察を進めてみよう。学校は大抵3期制か2期制で授業をする。つまり、4ヶ月か6ヶ月(休みが入るので3ヶ月と5ヶ月程度か)のスパンで授業があり、それぞれの期末で試験を行う。どうも、記憶の仕組みから考えると賢いやり方には思えない。大抵、中間試験もあるので、試験で分かるのは中期記憶に定着したかどうかだ。しかし、実際に必要なのは長期記憶として定着することで、それは測られていない。しかも、試験で出来なかった問題は、再度覚えても、省みられることは少ないので、覚え直すことはあまり行われない。実力をつけたかったら、このやり方に乗っていてはだめだ。


例えば、次のような方法を考える。授業期間中に行う試験では、実力がついたかどうか測れない。このため、1期分空けて試験を行う。これで点が取れなければ勉強し直しである。授業期間中は、中期記憶に入っているかどうかの試験をするのは同じ。1週ごとに小テストを行うのが良いだろう。これで出来なかった問題はレポートを書かせるなどして、さらに1週おいて試験する。これを繰り返し、覚えられなかったらレポート課題がどんどん増えるので、とにかく覚えるしかない。こういうカリキュラムにするには、授業時間も授業日程も画一な今の学校のやり方では無理なような気がする。一方で、タイピング練習ソフトなんかでは、こういう作りになっているので、出来ないことはないだろう。ともかく自分でやるしかないじゃん。やれよ自分。

*1:一度に覚えられる量が増えるので、こうした努力をする意味は十分にある